JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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2015/8/8

2015 年度USEJプログラム報告会開催

去る8月8日、トーランスのミヤコハイブリッドホテルで、JBAの教育支援プログラム「U.S. Educators to Japan(USEJ)」で訪日したアメリカ人教師ら3人による報告会を開催した。教師らは口々にこの日本滞在が自身の固定観念をいとも簡単に壊した貴重な体験だったと語り、JBA会員らに向けて訪日活動を詳細に報告した。

訪日体験は全てがパワフル
アメリカの教育現場で役立てたい

今年で40年の節目を迎えたUSEJプログラムは、日系企業の駐在員子弟を受け入れているアメリカの現地校への謝意と対日理解の促進を目的として始まった。その後現在に至るまで、ロサンゼルス、サウスベイ、オレンジ・カウンティーの学校を中心にアメリカ人教師(あるいは教育関係者)らを毎年選抜し、日本に派遣している。

午前9時。報告会が開始した。最初に三宅JBA会長が挨拶。「1945年に開始したUSEJプログラムは今年で40年を迎えました。今回皆さんは、日本の文化や伝統、教育システム、一般の家庭生活など、日本で貴重な体験をたくさんされたことでしょう。これを機により深く日本を理解できたと思います。その体験を今度は多様な人種が暮らすアメリカ社会でぜひ役立ててください」と語り、USEJの意義を再確認するとともに教師らの無事の帰国を喜んだ。

当日の報告会では訪日した7人のうち3人が集まり、スライドを使いながら日本での経験を紹介。一人目に、El Marino Language School(カルバーシティー)のレベッカ・リンダー先生が壇上に立った。レベッカ先生は、日本の小学校を訪問した際、昇降口のくつ箱がきちんと整頓されていることに感銘を受けたそうだ。また、日本独特の給食時間を見学し、生徒らが自ら責任を持って配膳、片付けを行っていることにも驚いたとし、学校生活の全ての行動が教育に結びついていると見解を述べた。また、道路にゴミ箱が設置されていないにもかかわらずゴミが落ちていない町の美しさにも感動したという。さらにホームステイの経験を挙げ、言葉の壁は確かに大きいとしながらも、互いに理解しようとするコミュニケーションの努力があったため自分としては大した問題ではなかったと語った。最後に、訪日中のパワフルな経験全てをアメリカの教育現場で役立てたいと抱負を述べた。

次にHickory Elementary School(トーランス)のロリ・ナガオカ先生が報告を始めた。ロリ先生は日系アメリカ人で、自分のルーツでもある日本に行くことができたことを非常に喜んでいた。中でも、奈良県の斑鳩町で経験したホームステイが非常に心に残り、琴や茶道などさまざまな伝統文化に触れる機会に恵まれたことを紹介した。また、古都に残る寺社や伝統的建造物が大変美しく、何百年間もきれいに保存されていることに感動したそうだ。さらに、広島を訪れた際に聞いた被爆者の体験談は、一生自分の心に残り続けるにちがいないと語った。学校見学では、日本では当たり前だがアメリカではありえない生徒による掃除の時間が印象深かった様子で、「日本では掃除を教育の一環と捉えています。アメリカでも、トイレ掃除は無理でも教室の掃除なら取り入れられるのではないでしょうか」と語った。また、教師と生徒が一緒に昼食を囲む給食風景を見て、「月に1~2回、私も生徒と一緒にランチを食べてもいいかもしれない」と今後の抱負を述べた。

日本人は「Shy」ではない
とても「Curious」な存在

最後は、Jeffrey Trail Middle School(アーバイン)のクリスティーナ・マシエル先生が報告した。「一般的に、私の学校に通学する日本人学生はあまりしゃべりませんし、とてもおとなしいのです。またクラスでも手を上げません。こうした日本人の性格は(扱いが)とても難しいと思っていました」と、冒頭でこれまでの「日本人観」を述べたクリスティーナ先生だったが、日本の学校での授業風景や放課後のクラブ活動、地域活動を見て、「実は日本人はまったく『Shy』ではなく、とても『Curious』であることが分かりました」と目からうろこが落ちた様子だった。また、自分のことは自分でしようとする価値観や、何に対しても貪欲に学ぼうとする姿勢に感銘を受けたと同時に、男子生徒も手芸などを習う「家庭科」の授業が時代に即して非常に「Innovative」と賞賛した。日本文化については、新旧がうまく混在しており、日本人はその両方を大切に守っていると語った。今回の訪日を経て、「人前で自分を表現するのが苦手な生徒には個別に話をする機会を設け、各人に合ったゴールを設定しながら色んなチャレンジをしてもらえるように工夫します」と自身の今後の教育方針を述べた。

3人の報告が終了後、昨年、同プログラムで日本を訪問したWilson Elementary School(サンゲーブリエル)のジーニー校長とPalos Verdes Peninsula High School(パロスバーデス)のミシェル先生がそれぞれの体験を述べた。彼女たちも日本を訪問したことでそれまでの人生観が大きく変わったとし、「外国で暮らす気持ちや平和の大切さ、平和を実現するための取り組みなど、それまで考えもしなかったことを身近な問題として捉えられるようになった」と語った。

その後ランチをはさんで海部JBA Foundation会長が挨拶。「日米関係の重要性や人生観の変化、議論することの重要性など、皆さんが得たことはたくさんあるはずです。これからも互いに連絡を取り合いってほしいですし、JBAとしてもずっとこのプログラムを続けていきたいと思います」と語った。

最後は前田教育文化部会長が閉会の挨拶。「皆さんの体験談を聞くことができて本当に良かったです。皆さんはこれで私たちJBAファミリーの一員。今回の体験を基に、これからもさまざまな場で貢献していただけることを願っています」と報告会を締めくくった。


会の冒頭で挨拶をする三宅JBA会長

レベッカ先生

ロリ先生

クリスティーナ先生

昨年の訪日体験を語るジーニー校長(左)とミシェル先生

USEJプログラムの今後の発展を約束する海部JBA Foundation会長

閉会の挨拶をする前田教育部会長
 

2015年度USEJプログラム訪日メンバー7人


貴重な着物の着付け体験をした教師ら

ホームステイでお好み焼きに挑戦

広島では折り鶴を作って捧げました

人と同じようにかっぽする奈良の鹿に驚き!

日本の生徒と一緒に授業に参加しました

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