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2014/11/22

あさひ学園高等部弁論大会 最優秀弁論の発表

 去る2014年11月22日、あさひ学園高等部弁論大会をサンタモニカ校とオレンジ校で行いました。大勢の前で自分の考えを発表することにより、発表力と自己に対する自信をつける目的で、毎年授業の一環として行っております。
 一人ひとりの個性、高等部で培ったものの見方や考え方がしっかりと表現された弁論でした。今回は、それぞれの学校で最優秀賞を獲得した生徒の弁論を紹介します。

emily-asahi-speech
オレンジ校

最優秀賞「あの時私は―今を生きる私―」
高等部2年 岡部エミリーさん

「楽しい時間は早く過ぎる」昔からよく聞く言葉です。皆さんの中には、時間がもう少しゆっくり過ぎてくれたらいいのにな、と思ったことがある人、結構いるのではないでしょうか。時間とはなんなのか―。今日は改めて、「今を生きる私」について考えてみたいと思います。
 私は今、17歳。高校2年生です。この夏、日本の祖母の家に遊びに行ったときのことです。みんなで夕食を食べていたとき、「エミリーは大きくなったね。あと2年で大学だ!」と祖母が言いました。「そうだよ」と簡単に答えた私に母は、「早いよねー」と微笑んでくれました。でも、その後、二人だけになった母と祖母の会話が耳に入ったのです。「子育ては大学に行くまで」と母の切ない声が聞こえました。そのとき私は、あと2年で親と離れなくてはならない、という現実を初めて実感しました。「もう子供じゃない、この穏やかな生活は一生続かない、人生、ボーっとしていたらすぐに終わってしまう」と―。そして、今のこのひと時ひと時を大切にしよう!そう心に刻んだのでした。

 “過ぎ去った時”を思い返すことが多い私は、特に、学年の終わり、大好きな先輩がいなくなってしまうと思うだけで、これからのことが考えられなくなるほど悲しくなることがあります。部活やスポーツに熱心に取り組んでいる私にとって、頼りになる先輩たちの存在はとても大きいのです。でも、時間が経つにつれて心は落ち着き、悲しい気持ちも和らいでいきます。そして、心に残るのは、楽しかった思い出と、これからも頑張っていこうという強い思いだけです。苦しみも悲しみもいつかは癒え、「今」という大切な時を精一杯に生きられるように、時間は、私たちを強い人へと鍛えてくれているんだと思います。

最近、小さな頃のアルバムを見て思うことがありました。その写真に写っている私は、まっすぐな目をして、無邪気な笑顔で満ちていました。思い返してみると、あの頃は、なんでもキラキラと輝いていて、本当に些細なことでも楽しみで、いつもドキドキしていました。あの頃の私は、何もおそれずに自分らしく生き生きと毎日を楽しんでいました。あの頃見ていた空は、もっと青く、太陽はもっと眩しく、緑はずっと綺麗だった……。

時はいつの間にか過ぎて、今こうして高校を卒業するという、人生の曲がり角にいるなんて、本当に驚きです。テストも、人間関係も、大学も、将来も、何もかも考えなくてよかったあの頃は、当然ながら戻ってきません。それでも私は、あの頃見えていた何もかもが輝いていた世界を、もう一度見たいと強く思いました。見えるようになるにはどうしたらいいのか?それはきっと、自分らしく、いつも精一杯生きていればいい。私は、そう信じるようにしました。

では、“精一杯”とは何でしょう?私は“精一杯”とは、何事にも恐れずにチャレンジすることだと思います。やりたいことがあるのに、失敗を恐れて何もしないでいるより、失敗してもいいから一生懸命チャレンジして、たとえ結果が良くなかったとしても、あとでやればよかったと後悔するより、ずっといいと思います。ある時、私が悩んでいたとき、父が「“GO FOR BROKE”って知ってる?日系アメリカ人が第二次世界大戦で戦ったときのモットーだよ。精一杯がんばれ!それが『大和魂』だ」と励ましてくれたことがあります。この言葉が私の背中を押してくれて、私は「一歩」をふみだすことができました。この日から、これが私のモットーになりました。

 2014年の4月16日、韓国で修学旅行中の高校2年生325人を乗せた船が沈没して、295人が亡くなるという痛ましい事故がありました。私は、このニュースを聞いたとき、胸が押しつぶされそうになりました。私と同じ歳の生徒たちが、生きるタイムリミットが迫る中、いったいどんな思いで最後の時間を過ごしたのか……将来の夢も願いもあったでしょう。やりたかったことも、言いたかったことも、山ほどあったと思います。

私たちが当たり前と思って過ごしているこの時間は、決して永遠につづくとは限らないということを、私はこのとき胸が痛くなるほど感じました。いつ、どこで何が起きるのか、誰にもわかりません。私は改めて、時間の大切さを知ったのです。
     
 私にとって「時間」とは、宝物です。今の時代、何でもお金で買えると思う人は少なくないと思います。でも、お金で買えないものが、この世界にはあります。それが「時間」ではないでしょうか? 「時間」というものは、どんなに願っても、どんなに後悔しても二度と帰ってきません。

 だから私は、今、手の中にあるこの一瞬一瞬を大切にしたいと思います。生きたくても生きられなかった人たちのぶんまで、精一杯生きたいと思います。穏やかに通り過ぎる今この瞬間は二度と帰ってこないし、二度と同じものを感じることができません。時が過ぎ去って、「あの時私は、精一杯生きていたか?」と自分に問うとき、私は、「精一杯生きていた!」と、答えは一つになるように生きたい!と強く思っています。
 ご清聴ありがとうございました。


emily-asahi-speech
サンタモニカ校

最優秀賞「心の声を求めて―世間の期待と自分らしさの間で」

高等部2年 庄司ソニアさん

今、十七歳の私は立ち止まっています。今まで目の前にあったゴールは、ただただいい成績を取って、優秀な学生としての役割を果たすことでした。しかし、この秋、高校最後の年が始まって、急に先のゴールが見えないことに気づいてしまいました。どうしていいのかが分からないまま、大学に行っていいのだろうか。私は何を専攻したいのか、どの大学に行きたいのか。今までは親が決めた学校に行っていましたが、今回初めて自分で選択することが次々と出てきました。その上、選択肢が無限にあるように感じます。正直言って、毎日ものすごい不安と悩みで頭がいっぱいです。まだ大人になどなりたくないのに…。子供から大人の世界に行く橋を渡り始めているけれど、その橋を渡った後どこに行くのかがさっぱり分からなくて怖いのです。

私の親は、小さい頃から多くの選択肢をくれました。今も、大学の行き先は本当に世界のどこでもいいと言ってくれます。私が悩んでいる姿を見ると、「有名大学に行かなくてもいいし、人生長いんだから、急ぐことはない。高校を卒業してすぐに大学に入らなくても、ゆっくり好きなことを見つけて好きなことを仕事にできればいいんだよ」と言ってくれます。こうして親はいつも私を信頼し、応援し、自由にさせてくれ、自分たちの夢や意思を私に押し付けたことは一度もありません。

しかし、同級生は親からのプレッシャーで有名大学に入るために少しでも成績やSATの点数を上げるために必死で、周りからのストレスをたくさん感じていました。私も一時、皆が焦り始めるのを見て、同じように心配しました。でも、ふと、成績や標準テストの数字にどれだけの意味があるのかと、疑問を感じるようになりました。皆が悩んでいるからといって、私も同じように悩む必要はないことにも気づきました。皆は自分の期待を親の期待と混同してしまっているのではないか。そして親の期待は、世間の期待なのではないか、と思うようになりました。私はもっと自分自身に真に大切なことを見つけて、それに夢中になりたいと思いました。

淡々と皆が歩んでいく道を進んで行く人が多いけれど、それでは皆について行くのに精一杯で、自分の進むべき本来の道を見失ってしまうことが多いのではないかと思います。例えば、大学も普通の人は海外の大学は選択肢に入れませんが、アメリカや日本でなくてもヨーロッパやアジアの国にもいい教育があり、しかももっと安く受けられ、新しい経験と共に学ぶ機会がたくさんあります。大多数の人と違う道を進むには、時には道なき道、自分だけの道を切り開いて行く勇気と情熱が必要です。自分の道を見つけたら、皆と離れる勇気を持って自分の道を一歩一歩歩み始めればいいのです。

 世間に惑わされず自分の意思で人生を決めて行くべきなのです。自分の心の声を聞き、自分に正直に生きていく勇気と覚悟を持つことが一番大切なのではないでしょうか。反対に、世間の期待どおりに生きていこうとすれば、本当の自分に向き合わず、自分の本心を無視して自分自身に対してたくさん嘘をついていかなければなりません。しかし、自分の心の声を世間の期待に合わせなくてもいいのです。自分の心の声を聞いて、それを信じて行動すれば、きっと一番の幸せに辿り着くと私は信じてみよう。そう決心しました。

私は今、進路について迷っていますが、いつまでも情熱が湧いてくるのをただじっと待っていることもできません。今は待つのではなく、探っていかなければならないのです。大学の四年間は、私にとって心の声が何を囁いているのかを探す時間だと思って、世間の期待や常識に惑わされず、この先の自分にとっての幸せを見つけ出していくつもりです。
 将来は誰にも分かりません!だからこそ、今、目の前にあることに全力を尽くしていけば、いつの日かきっと、自分の心の声がはっきりと響いて来ることを信じています。
 ご静聴ありがとうございました。

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