JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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石塚 直之さん

Calty Design Research
Director, Coordination
石塚直之さん

1965年新潟県生まれ。88年に東北工業大学卒業後、同年、トヨタ自動車入社。入社後は一貫して自動車のインテリアデザインを担当。デザインチームのチーフ、車内外デザイナーのマネジメントなどを経験後、2012年にLAのCalty Design Researchに赴任。

アメリカに来て強く感じる 車全体を意識したデザインの重要性

大きな人生の転機となった憧れのCaltyへの赴任

LAへの赴任は人生の大きな転機でした。大学卒業後24年間、愛知県のトヨタ自動車本社から一歩も動いたことがない人間だったので…(笑)。上司から赴任の件を持ち出された時は、家族が海外生活に慣れられるかや言葉の問題など不安でしたね。でも、Caltyで働くことはトヨタでデザインをする者として憧れでしたし、妻と話して「後で後悔するなら思い切って行っちゃおう」と、LA行きを決意しました。

Caltyは主に、未来のトヨタやレクサスの車のスタイリングを提案する先行デザイン開発やコンセプトカーの制作、世界各地で販売されるグローバルカーのデザイン競作、アメリカのみで販売される北米専用車の製品化デザインを行っています。ここで私は、社長に次ぐ「Director, Coordination」という立場で、全体的なデザインのディレクションや組織のマネジメント、本社とCaltyのコミュニケーションを円滑にする手助けなどの業務に従事しています。

Caltyの最近の成果で目立ったものを挙げると、まず9月に発表された4代目「プリウス」のプロジェクト初期段階でアイデア開発に参画し、インテリア、エクステリアの最終デザインに影響を与えました。また、この秋に発売となるピックアップトラック「Tacoma」や「Tundra」などのモデルチェンジにおけるデザインの刷新も大きな仕事でした。このピックアップトラックというのはアメリカ独自のもので、アメリカで車のデザインをする大きな醍醐味の一つだと思います。日本ではまず携われない仕事ですし、アメリカ人のトラックに対する思いや日常における使用法などをしっかり理解した上でデザインしなくてはいけませんから、日本にはない価値観を知ることができました。

そのほか、「Avalon」や「Sienna」などの北米専用車をデザインする際も、日本でデザインをしていた時とは少し違った気遣いが必要です。アメリカは道路がとにかく広いので、車の外観の見え方も日本とは全然違うんです。広い道路で車1台1台の細かいディテールは見えませんから、個性を主張するにはもっと全体のシルエットやバランスに注意したデザインが重要になってきます。これは実はアメリカでなくてもデザインにおいて非常に重要なことで、日本でも意識はしていましたが、LAに来てその意識はさらに高まりましたね。

自分の駐在任期後も会社がさらに良くなる仕組みを残したい

家族は妻と16歳の娘と10歳、7歳の男の子がいるのですが、当初の心配をよそに、皆こちらの生活に馴染んで楽しく暮らしています。子どもたちは現地校と補習校に通って月曜から土曜まで毎日勉強で大変そうですが(笑)。

駐在は2016年の6月までなので、こちらにいる間に休みの時はなるべく家族で遠出するようにしています。これまでもヨセミテやグランドキャニオン、サンフランシスコ、フロリダ、カンクンなど色々な場所に行きました。それから、ニューヨークとナイアガラの滝には行っておきたいですね。

あと、帰任までにCaltyの将来につながるような提案や仕組みを残していけたらと考えています。今、Caltyはトヨタ本社の期待に応え、とてもいい提案やデザインができています。僕の帰任後も、それがさらに良くなっていくような組織やマネージメント体制、人材育成の仕組み作りに取り組んでいきたいですね。

昨年、家族旅行で訪れた、ヴァージニア州、スミソニアン国立航空宇宙博物館での1枚

昨年、家族旅行で訪れた、ヴァージニア州、スミソニアン国立航空宇宙博物館での1枚

=Company Info=

Calty Design Research, Inc.◎1973年に設立されたトヨタ自動車の北米デザイン拠点。トヨタ自動車本社から依頼を受けての先行デザイン開発、北米生産車の製品化デザインなど、業務内容は多岐に渡る。

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