「医食同源」をモットーに 商品を通して健康を普及

アメリカ人をターゲットに
ゼロから米国オフィス立ち上げ

2012年に妻を帯同して渡米し、ゼロからKowa Health Care America, Inc.を立ち上げました。日本では大企業であるKowaでも米国では無名の存在。それでも立ち上げの際に「全アメリカ人をターゲットにする」と決意しました。日系、アジア系市場だけを考えていては、いずれ売り上げの限界が来る。ここでそれ以上の売り上げを出すためには、アメリカ人に愛される商品でなくてはならないと考えたのです。異なる価値観を持つ多様な人種が暮らすアメリカでは、日本のように東京でヒットすれば全国的に売れるというふうに簡単にはいかず、マーケティングの手法も大きく異なります。最初の半年は苦戦続きでしたが、アメリカ人を知るためにあえて日本人との交流を避け、アメリカ社会に溶け込むように努めました。

渡米後の最初の難関は、FDA（食品医薬品局）の規制でした。赴任時の私のミッションはKowaの日本本社が扱う一般用医薬品を米国で販売することでしたが、FDAの許可を得るには数年を要することが判明したのです。悠長に許可を待っている余裕はありませんから、ならば米国の法律で許可される商品を製造し、販売しようと考えました。そこで目をつけたのがサプリメント市場です。医療費が高く、食生活が不健康なものになりがちな米国では、サプリメント市場は一般用医薬品の6倍近い規模があり、また現在も毎年4%近い成長を続けています。その時に生まれたのが、ゴーヤなど沖縄の食材を使ったサプリメント「Okinawa Life」でした。

健康食材から生まれたサプリで
米国に健康を届けたい

私は渡米以前から沖縄の美しさに魅了され、特に沖縄北部にある大宜味村を何度も訪れてきました。その村では、長寿であるばかりでなく、皆さんが年をとってもアクティブで、健康寿命が非常に長い。それは皆さんが島野菜など沖縄伝統の食事を食べているからなんですよね。一方で、米国は非常に砂糖の消費量が多く、肥満大国です。私は「医食同源」という言葉を大切にしていますが、この国にそうした沖縄をはじめ日本のヘルシーな食材を使ったサプリメントを通して、健康を届けられないかと考えたのです。

「Okinawa Life」は、赴任半年後の13年1月に発売し、その翌年には米国に進出している日系企業では初めて、米系の大手ドラッグストアでも商品を扱っていただけるようになりました。これはアメリカ人をターゲットにするという目的と、それを実現するために正しいビジネスパートナーを選択した結果だと考えています。私たちのような外国から来た企業が米国で成功するためには、いくらアメリカ社会に溶け込み、アメリカ人のことを深く知っても、やはり一流のビジネスパートナーの存在が不可欠です。残念ながらその選択において失敗もありましたが、それらの失敗の経験を経てパートナー選びの目が養われたと思います。

私の大学の恩師、國弘正雄さんは「日本は資源のない小さい国で、世界に命を預けた国。外交官だけでなく、私たち一人一人が日本の外交官として、世界の人とうまくやっていかなくてはならない」と日本の外に目を向けるきっかけを与えてくれました。私は米国で暮らす中で、日本の健康的な食事の素晴らしさ、そこから生み出される長い健康寿命に改めて気付きました。高齢化社会先進国の日本を代表して、Kowaの商品を通して、この国にいっそう健康を届けていけたらと考えています。

6年ほど前から魅了され、何度も訪ねた沖縄にて。

=Company Info=

Kowa Health Care America, Inc.◎興和グループ企業として、2012年にトーランスに設立された。主要事業は、「Okinawa Life」や「Nutri Diet」をはじめとするサプリメントの製造・販売のほか、Vantelinサポーター、ハンドウォーマーの製造・販売など。

私のLAライフ一覧へ