第106回ビジネスセミナー
「日本版SOX 法最新動向」を開催
去る3月24 日、ホリデーイン・トーランスにて開催したビジネスセミナーは、
「日本版SOX 法最新動向」と題し、protiviti のマネージングティレクターである、
遠山明彦さんを迎え、「内部統制報告制度の最新動向と海外現地法人における
対応の留意点」が解説された。
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SOX 法とは2002 年に成立した
新しい法律で、上場会社の財務報
告にかかわる、内部統制に関する
評価報告制度です。これは、Paul
Sarbanes とMichael Oxley の2人
が定めた法律で、2人のラストネ
ームの最初を取って、「SOX」と名
付けられました。
日本でも同じようなものがで
きたので、Japan のSOX なので
「J-SOX」と呼ばれたり、「日本版
SOX」という言葉が使われていま
す。これは上場企業およびその連
結子会社に、会計監査制度の充実
と企業の内部統制強化を求めてい
ます。
日本でSOX 法が必要になった
背景として1番多く挙げられるの
が、西武鉄道、カネボウなど、現
行制度の弱点を露呈するディスク
ロージャーに関する不祥事が続発
したことです。その頃、金融庁が
調査をした結果、調査対象4534 社
のうち14%にあたる652 社が、何
らかの形の訂正報告書を提出した
ことがわかりました。
さらに、東京証券取引所におけ
る外国人保有率が30%を越
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「内部統制の新しい監査基準案では、トップダ
ウン・アプローチの採用によるコスト削減が、
目玉のひとつ」(遠山さん)
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えてお
り、アメリカ人、ヨーロッパ人に
受け入れられる仕組みを作らなけ
ればならなくなったことも理由の
1つです。これらを受け、ディス
クロージャーの信頼性を確保するために、この法律ができています。
内部統制報告制度の要件は、金
融商品取引法を始め、財務報告
にかかわる内部統制の評価、監査
の基準、および実施基準などの法
律、金融庁による内部統制の枠組
み、評価に対するQ&A、そして
経済産業省による財務報告にかか
わるIT 統制などのガイダンスで構
成されています。07 年2月、金融
庁は財務報告にかかわる内部統制
の基準、および実施基準を最終化
しました。作成にあたっては、米
国、イギリス、フランス、カナダ、
韓国などの同様のシステムとその
効果を分析し、一般寄りのコメン
トを検討した後に最終化されまし
た。
金融庁は、SOX 法の動向をモ
ニターしており、その適用に大き
な変化があれば、日本の内部統制
報告制度に影響を与える可能性が
あります。米SEC(米証券取引委
員会)による経営者向けのガイダ
ンスとして、経営者向けの内部統
制の評価に関するガイダンス案を
公表し、経営者に対する404 条適
用に関するガイダンスとしては、
初めての包括的なものになりまし
た。
また、06 年12 月、米PCAOB(公
開会社会計監視委員会)が、財務
報告にかかわる内部統制の新しい
監査基準案を公表しました。これは
07 年12 月より適用することを目標
に、数カ月以内に最終版を公表する
予定となっています。前述の両ガイ
ダンス共に、最も重要な事項に焦点
を当てるトップダウン・アプローチ
の採用によるコスト削減が、目玉の
ひとつとなっています。
海外現法の場合、事業内容は同じでも、商習慣が違うため、プロ
セスやリスクが異なります。例え
ば、契約形態、または売り方が違
うことで、売上に関するリスクが
異なりますし、製品保証の考え方
が違うことで、引当金の重要性が
異なります。
また、IT システムの活用方法が
違うので、統制のポイントが異な
ることも挙げられます。日本国内
の子会社では、IT システムで作成
された帳票を使用して業務を処理
しますし、中国では人件費が安い
ですが、スキルが高いため、手作
業中心で業務を処理します。
これに対し米国では、統合シス
テムを使用し、帳票はほとんど使
用しません。これらのことから、
業務プロセスに関する内部統制の
評価においては、全世界の事業拠
点すべてが効果的に使用できる
質問状やサンプルを作成すること
は、極めて困難だと言えます。ま
た、海外現法は、親会社に自社に
特有な事情を説明し、必要に応じ
て質問状などの変更を要請するこ
とが大切です。
親会社に、内部統制の専任グル
ープを設置した会社が多い一方
で、海外拠点、特に規模の小さな
拠点では、内部統制プロジェクト
に充当できる人材が限られていま
す。また、内部統制の構築・評価
に関与できる従業員の量と質は、
拠点により大きく異なります。前
述のことから、親会社がアプロー
チやテンプレートを作成する際
は、人的資源の相違点を考慮する
ことが必要です。
大企業には、SOX 法対応に30
カ月の準備期間が与えられまし
た。ただし、企業に対するガイド
ラインには「有効性」「評価範囲」
といった重要な事項の定義が欠如
しており、多くの見解がありまし
た。外部監査に関するガイドライ
ンは導入10 カ月前に公表されまし
たが、多くの企業が監査ガイドラ
インに基づき、途中で方針を変更
しました。
4000 社以上が今までに内部統制
報告書を作成しましたが、初年度
には16%が重大な欠陥があること
を報告しました、欠陥の内容は、
IT 関連、決算以外の業務プロセ
ス、決算プロセス、全社的な統制
などが挙げられます。
また、大企業(売上50 億ドル超)
の初年度SOX 法対応費用は、年
間平均440 万ドルでした。現在は、
多くの企業が統制の自動化や業務
の標準化により、コスト削減を目
指しています。
企業の関心が非常に高いテーマだけあり、98 名の参加があった
まずは、最初の時点で短期ゴー
ルと長期ゴールを考えることが大
切です。
2番目は、社内リソースと社外
リソースをうまく使いわけるこ
とです。社外では初年度対応コス
ト、およびプロジェクトリスクの
削減、社内では2年目以降対応の
ためのスキルの構築を行うと良い
でしょう。
3番目は、必要最低限の範囲で
スコープを設定することです。自
社の特性を考慮して、要件を詳し
く分析し、十分な時間を投入し、
親会社と共に事業拠点、サブプロ
セスなどの選定をしましょう。
4番目は、既存資料やリソース
を最大限に活用することです。
すでにフローチャートがある場合
は、そのまま、または加筆して使
用すると良いでしょうし、他の部
署がプロジェクトマネージメント
ツールを所有している場合は、活
用すると良いでしょう。
5番目は、財務報告から焦点を
外さないことです。
6番目は、重要リスクと維持的
統制にフォーカスすることです。
この目的は、リスクを適正なレベ
ルに管理することなどです。
7番目は全社的統制の評価結果
を利用することです。早期に全社
的統制の評価を実施し、業務統制
評価を実施する前に、できるだけ
全社的統制の不備を是正すること
が必要です。
8番目は、親会社に加えて、他
の海外現法とも協力して作業を推
進することです。
9番目は、早期にプロジェクト
を開始することは大切ですが、ス
ピードオーバーにも注意が必要で
す。早期に準備を開始し、アプロ
ーチの策定を慎重に行いましょ
う。
10 番目は、自社にはどの程度の
内部統制が必要かを判断すること
です。内部統制報告制度は、09 年
から約4000 社の一斉適用が前提と
なります。また、形式より内容を
重視することを心掛けましょう。
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