第107回ビジネスセミナー
「現地採用のビザオプションとリスクについて」開催
今回は、現地採用者に焦点を当て
たビザセミナーを開催。企業スポン
サーのリスクや移民法改正案と今後
の動向など、移民法弁護士の冨田有
吾氏が、わかりやすく解説した。
去る4月27 日、ホリデーイン・トーランスにて開催したビジネスセミナーは、「現地採
用のビザオプションとリスク」と題し、冨田法律事務所の移民法弁護士、冨田有吾氏が、
ビザの最新情報を解説した。当日の内容をダイジェストでお伝えする。
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H-1B ビザというのは皆さんよ
くご存知のように、1番多く使用
されているビザです。条件として
は大卒の人、専門的な専攻の人、
そして、その専攻と職業の一致に
なりますが、年間枠は6万件(プ
ラス、アメリカの修士号保持者の
2万件の特別枠)となっています。
これは毎年10 月1日から翌年の
9月30 日の間に6万件が発行さ
れるということです。10 月1日が
H-1B のスタート時期ですが、その
半年前から受け付けますので、4
月1日からとなります。今年は4
月1日が日曜日でしたので、4月
2日が受付日となっていました。
実は今年、この申請開始から2
日間で13 万件以上の申請がありま
した。たった2日間で年間枠の倍
以上の申請があり、これ以上H-1B
の受け付けができないということ
になりました。2008 年度のH-1B
枠で採用したくても、もう使え
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な
いということになります。なぜこ
のような問題が起こったかという
と、これから色々と分析が出るか
と思われますが、インド人の申請
者が増えたことが考えられます。
今回、半数以上がインド人のプロ
グラマーという統計も出ていま
す。
既にH-1B を持っているH-1B 一
般枠外の人(転職や更新の人)は
例外です。また、アメリカの大学
院卒の人は2万件の特別枠がある
のですが、4月21 日の時点で既に
約1万8000 件の受理となっていま
す。
ビザの種類には、H-1B(専門職)L-1A / L-1B(企業内転勤)、E1 /
E2(国際間取引・投資企業による
就労ビザ)、O1(卓越した能力保
持者)、Q1 / P3(文化交流)、J1(OJT
職業研修)、H3(職業研修、OJT
不可)以外にもアルファベットの
分だけビザが存在します。
Q1、P3 などは、聞き慣れないビ
ザかもしれませんが、文化・伝統・
芸術に関連した職業であること、
Q1 の滞在期間は15 カ月、P3 の滞
在期間は1年ごとの更新で、制限
なしとなっています。これまであ
まり着目されなかったビザですが、
H-1B が厳しくなり、今後注目され
る可能性はあります。
各ビザにはいくつかの問題点が
あり、なかでもH-1B の場合は、
大卒、専門的専攻、職業との一致、
平均給与支払い義務などがありま
す。平均給与が高い、申請料を支
払いたくない、払いたくても枠が
ないといったように、非常に厳し
い状況になっています。
L1 は、国外の関連企業で最低1
年間の職歴が必要ですし、J1 は制
限が多い、期間が短いなどの問題
点があります。また、今回のH-1B
の枠から外れてしまった人がJ1 に
ビザを切り替え始めることが予想
されますので、J1 ビザも以前に増
して取得が厳しくなるのは必至で
す。
アメリカに比べ、日本は景気が
良く(新卒求人倍率2.4)、帰国組
の増加が考えられています。そこ
できっと皆さんのなかにも、「なぜ
もっと普通に人が雇えないのか?」
といった、素朴な疑問が生まれて
くることと思います。もちろん人
は雇えますが、雇用市場のテスト
をして、永住権を申請する必要が
あります。しかし、永住権も年間
枠の規制があるために、通常は取
得まで4〜5年かかります。
また、ビザ取得が複雑な理由に
は、アメリカの雇用を守るという
ことが考えられます。国内雇用の
妨げにならない人材にしか、ビザ
は発行されません。ビザは優秀か
どうかではなく、雇用に影響があ
るかどうかで判断されます。そも
そもビザの枠があるのは、移民数
を制限し、アメリカ人の雇用を守
るものと言われています。ビザで
悩んでいるのは、どこの会社も同
じと言えるでしょう。
ビザのオプションや法的な義務
については、まだよく理解されて
いないのが現状です。そのため良
い人材をリクルートする機会を逃
したり、従業員がビザの問題で、
別の企業に移ってしまうというよ
うな問題を抱えている企業も多い
ようです。
H-1B スポンサーの義務として
は、平均給与の支払い義務があり
ます。これは働く地域やポジショ
ンによって異なりますが、労働省
のサイトで詳細を確認することが
できます。また、同レベルの社員
と同額の給与を支払わなければな
りません。雇用条件、手当上での
差別も禁止されています。
雇用主は、500 ドル(詐欺調査・
防止料)、1500 ドル(社員25 名以
下の場合は750 ドル)の申請料支
払い義務があり、これらはアメリ
カ人の職業研修のために徴収され
ます。この義務を怠った場合、1
つの違反につき1000 ドルから最高
で3万5000 ドルの罰金が課せられ
ます。この罰金は故意か過失かに
よって、大きく異なります。また、
差別があった、H-1B の従業員を雇
用するためにアメリカ人を解雇し
た、過去にも同様の違反があった
か、などでも罰金の額が変わって
きます。罰金以外には、H-1B ビザ
の1〜3年間の申請禁止などがあ
ります。ほかには平均給与との差
額支払い命令などもあり、過去に
さかのぼっての差額を、雇用主が
支払わなければならないケースも
あります。
永住権上の義務としては、期間
的に制限のない雇用の約束とな
りますが、永久雇用ではありませ
ん。つまり通常アメリカ人を雇う
時と同じことになります。永住権
と他のビザが違う点は、永住権以
外のビザは期間が定められている
ということです。永住権取得後は、
H-1B 同様、平均給与支払い義務
が発生します。これは申請開始前
に査定された平均給与になります
が、4〜5年後の保証額になる可
能性もあります。
また、申請者が現在雇用されて
いなくても良いというのも永住権
の特徴です。例えば日本で待って
いる人や他の企業をスポンサーす
ることもできます。永住権のスポ
ンサーの変更については、通常、
申請は雇用主に帰属し、原則とし
て申請をトランスファーすること
ができません。ただし、申請手続
きの最後の段階(I-485)では、ス
ポンサーの変更が可能です。
永住権取得後の雇用主の義務
は、今すぐではなくても実際の雇
用が必要ということです。まった
く雇用しない場合、詐欺として疑
われる可能性があるからです。逆
に勤務を強制することはできませ
ん(企業がコストを負担した場合、
請求することは可能)。リスク管理
の点からも、雇用後のリスクなど
を雇用主側が把握している必要が
あります。
移民法改正案として検討されて
いるのが、H-2C テンポラリーワー
クビザです。これは年間枠を40 万
件とし、期間は3年間(プラス3
年間更新可能)、申請料は500 ドル
と言われています。これは不法滞
在者にも適用され、永住権申請も
可能というものです。
また、永住権枠の増加も検討さ
れており、雇用ベースでは14 万
から29 万に枠を広げるというもの
です。そしてH-1B 枠も11 万5000
に増加するという案があり、18 万
件まで増加可能とも言われていま
す。
学生の就労に関しては理系OPT
を12 カ月から24 カ月に増やす動
きや、20 時間内であれば学生アル
バイトを可能にすることも検討さ
れています。また、ビザ更新も米
国内にビザオフィスを構えて国外
に出なくても良い方法や、郵送で
できるよう検討されています。そ
の上、不法滞在者への恩赦なども
改正案として挙げられており、今
後の動向が注目されています。
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