去る5月22 日、渡辺謙
さんの主演作品『明日の記
憶』の特別試写会に行っ
てきた。ビバリーヒルズの
試写会場には、多くの日本
人、そしてアメリカ人の姿
もかなり目立った。
私の渡辺謙さんとの
最初の出会いは、大河ド
ラマ『独眼竜政宗』。当時まだ13 歳
だった私が、この大河ドラマを「シ
ブい!!」と観ていた訳だ。子供ながら
に、渡辺謙さんはかっこよかった。
あの後、印象に残った大河ドラマは
…ほとんどない。
世間的に知られているだけでも、
白血病の克服、離婚、ハリウッド進
出、再婚…と、波乱万丈の人生。「こ
の人の人生ってすごいわ!」と、う
まく表現できないが、本当にそう思
う。そして、言葉の端々から溢れる
人間味、人間としての魅力に満ち溢
れた人だと、つくづく感じた。
その彼が、あえて今回主演し、そ
してエグゼクティブプロデュー
サーまで務めた作品が『明日の記
憶』。あの日の感動も、あの日の楽し
みも、あの日の悲しみも、全部消え
てしまう…。今日という日は、明日
になれば、もう、ない。
妻は働き、夫を世話する。日を追
うごとに、忘れていく夫。「悪いのは
あなたじゃない。あなたの
病気が悪いのよ」。それは
自分に言い聞かせる言葉
でもあった。そして夫婦が
どんなに固い絆で挑もう
とも、病気は止まらない。
明日には失うであろう今
日。明日の記憶は、今日よ
りもさらに小さい。
もっと泣かせる演出をしようと
思えばいくらでもできたはずなの
に、それをせず、あくまでも佐伯と
妻の物語をしっかりと語り続けた、
という点が、この映画にとって、と
ても良かったことのように思う。
私にはまだ家族はいないが、将来
いつ何があるかわからない。佐伯の
妻・枝実子のように、全力でサポー
トできる人と巡り会えるのだろう
か? 観た後は、私自身への還元、
色々と考えさせられる映画。老いや
病、そして死というものは、生きて
いる以上避けられない命題だ。それ
をいつ迎えるか、どう迎えるかにつ
いて、懸命に走っている時は、目を
向けないもの。だから健康であるこ
とのありがたさ、両親、祖父母が健
在であることのありがたさや尊さ
について、気づけない。
でも、1つだけ私に残ったもの。
それは、「やっぱり家族だ」というこ
と。そのひと言に尽きる。