第114 回ビジネスセミナー
「エグゼキュティヴ・プレゼンテーション・スキル」開催
リー氏の絶妙なトークに、終始笑い声が絶えないほど盛り上がった
去る12 月7日、ホリデーイン・トーランスにて、「エグゼキュティヴ・プレゼ
ンテーション・スキル」についての講演が開催された。講師のジョセフ・リー氏は、
香港生まれの日本育ち、シカゴ大学でMBA 取得後、KPMG の日本企業担当を
経て、クレアモント大学ピーター・ドラッカー・伊藤正敏マネージメントスクー
ルの非常勤教授も務める。また日本では小説家としてもデビュー。プレゼンテー
ションの実践も含めたインタラクティブなセミナーとして盛り上がった。
アメリカでは、スピーチを始め
る時に必ずジョークを言います。
ところで、どんな職業の人がプレ
ゼンテーションを得意としている
でしょう? 政治家、宗教家、テ
レビやスポーツのパーソナリティ
ーなど、モチベーショナルスピー
カーとして活躍している人が多く
います。今回、フォーカスしたい
のは、プレゼンテーションの基本
となる6つの「S」
- SELF - 自分自身
- STAKEHOLDER - オーディエンスとの関係(利害関係)
- SUBSTANCE - 中身
- SHOW - デリバリースキル
- SURROUDINGS - 環境
- STORY TELLING - ストーリー
これらを頭に入れながら、実際
にプレゼンテーションをするエク
ササイズを2回行います。1回目
は1分間、2回目は2、3分と時
間を変えて、その違いを感じてい
ただきたいと思います。そして、
ボランティアの方に出ていただき、
その様子をビデオに撮って、後に
みんなでフィードバックをします。
映画『アメリカン・ギャングス
ター』の中で、警察官が大学で
スピーチをする場面があり、彼が
ポロッと言うセリフがあります。
"American fears public speech
more than death." アメリカ人で
さえ、恐いと思うスピーチ、日本
人はどうでしょう? このセミナ
ーをすることが決まって、私はア
メリカ人の友人に相談しました。
日本人はシャイだから、こういう
セミナーは難しいと思ったのです。
日本への出張から帰ったばかり
の友人はこう言いました。「何を言
っているんだ、あれだけ歌える日
本人がシャイなわけはない!」と。
ということで、日本人がシャイだ
という言い訳はできなくなりまし
た。とは言え、プレゼンテーショ
ンはとても緊張するものです。そ
の緊張をほぐすためのスキルを身
に付け、恐怖を克服するというこ
とは、とても重要です。
さて、1番目の「S」はSELF、
自分自身です。プレゼンテーショ
ンにおいて、自分のエネルギー
レベルを保つ。とても重要なこと
です。リーダーシップなどのセミ
ナーで、“Be in and be present"
と、よく言われます。“Be in the
moment"、これは今を生きるとい
うこと。
皆さん、ちょっと目を閉じてみ
てください。何を感じますか?
自分の息づかい? エアコン?
プレゼンテーションにおいて
も、今、自分の周りで何が起こっ
ているか、それを常に感じるこ
とが大切です。この感じ取る力、
「Awareness」を高めていく方法と
して、自分のオフィスに入って10
分間ほど周りを観察してみて、気
付いたことを書いてみるのも良い
でしょう。
それから人前に立つ時は、お葬
式以外はとにかくスマイル。話し
ている人が自分の話す内容に関し
てエキサイティング、もしくはニ
ッコリできないようでは、聞いて
いる方もしらけてしまいます。
2 つめの「S」は、STAKE
HOLDER。どんなプレゼンテーシ
ョンでも観客との関係があります。
彼らは何を求めているのか? モ
チベーションは何なのか、何を学
びたいのか? それとも何かアク
ションを起こしたいと思っている
のか? 観客とあなたとの関係は
何なのか? ボスとして話すのか、
それとも同じレベルなのか? ま
たは専門家としてのプレゼンテー
ションなのか。また、スピーチの
内容を考える時、その話を聞く側
のことも考えなければなりません。
政治的な例を挙げてみましょ
う。2003 年にイラク戦争が始まっ
て、ブッシュ大統領が兵の士気を
高めるために、サンクスギビング
にイラクを訪問してスピーチした
時、彼はこう言いました。“We are
fighting them here, so we don't
have to fight them back home"
これを聞いたイラク兵が、後に新
聞社にコメントしています。「フセ
インから僕たちを解放してくれた
と思っていたアメリカのことが嫌
いになった」と。アメリカ的には
響く言葉でも、それを聞く可能性
のある人のことを考えないと、そ
のスピーチが逆効果になることも
あります。
3つ目は、SUBSTANCE、プレ
ゼンテーションの中身です。現在
はインターネットがあるので、そ
こから話の題材を取ってくること
ができます。色んなウェブサイト
などの有名人の言葉を使うと、イ
ンパクトを与えることができます。
私は映画が好きなので、よく映画
のシーンやセリフを使うことがあ
ります。
プレゼンテーションのフォーマ
ットとして、スライドを何枚使う
かなど、決めていかなければなら
ないことがあります。私は自分の
ルールとして、スライド1枚は3
分間、1時間には20 枚以上使わな
いと決めています。プレゼンテー
ションの構成として、オープニン
グでジョークを言って観客を掴む
という方法もありますが、今日、
私が最初にやったように「このよ
うなセミナーを受けたことのある
人はいらっしゃいますか?」とい
うような質問で、観客とつながる
ことも可能です。なかには、スピ
ーチを全部書いて記憶しようとす
る人がいますが、これには大反対
です。覚えようとすると、途中で
自分がどこにいるかわからなくな
ってしまう可能性があるからです。
プレゼンテーションのトレーニ
ングにおいて、1番時間を割くの
が、3番目の中身と、その中身を
どうデリバリーするかという部分
である4番目の「S」、SHOW にな
ります。
一般的によく問題とな
るのが、ペースとボリュ
ーム。話し方が早過ぎた
り、声が小さかったりす
ることで、自分の自信の
なさを伝えてしまいま
す。会場において、自分
の声が後ろまで通ってい
るかを確認することも大
切です。特にマイクのな
い時、女性の方は、声の
ボリュームに要注意で
す。
それからポーズ。静かになった
時に、とても居心地が悪くなるこ
とがありますが、そういう時に、
「えー」とか「あー」とか出てくる
人がいます。実際、私も訓練中に
よく指摘されました。声に関して、
もう1つ大事なのはトーン。大き
さだけではなく、声の高さ、低さ
を調節し、バラエティーを持つこ
とで、観客の集中力を煽ります。
次にアイコンタクト。秘訣とし
ては、会場の何カ所かに視線を投
げる場所を予め決めておくこと。
会場内に知り合いを見つけておく
とか、観客の中に好意的に話を聞
いてくれるような人が何人かいた
ら、そこに向かって話すようにす
ることで、その周辺にいる人も自
分に向かって話していると感じて
くれます。また人ではなくても、
何か目印になるようなものを見つ
けるのもOK です。資料などを持
っている場合は、資料に目が行き
がちになるので、気を付けましょ
う。
それから、皆さんもお気付きの
ように、私はよく歩き回ります。
これはプレゼン中の自分自身のリ
ラクゼーションにも役立ちます。
ジェスチャーも同じです。大きな
空間では大きなジェスチャー、小
さな部屋ではジェスチャーも小さ
く、その場に合わせることが必要
です。
次にSURROUNDING、環境です。
今日も私は、始まる前にこの会場
に来て、マイクの音や機械のチェ
ックをしました。椅子などの配置
も、シアターやクラスルーム形式
にするのか、グループワークがし
やすい形にするのか、自分がやり
やすいように決めておきます。
最後に、STORYTELLING、簡
単に言うと、役者としてストーリ
ーを語ることです。今回、私は6
つの「S」についてしつこく言って
いますが、これは、資料を持って
帰ればいい訳です。そういった情
報よりも、ストーリーを語ること
によって、観客にインパクトとい
うお土産を受け取ってもらうこと
です。
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