去る1月23 日、ホリデーイン・トーランスにて、
「各種医療保険とその有効活用」についての講演
が開催された。Prestige International USA, Inc.
の田中さん、赤尾さんを招き、専門家の目から各
種医療保険について詳しく解説された。

「米国現地保険のメリットは、高額な現地医療費がカバーされることです」と田中さん
医療保険は歯科保険を全国民に
強制加入させている日本の仕組
みとは異なり、米国は個人の責任
で保険に加入する仕組みです。そ
の米国現地保険には、1人1人の
状況や、要望に合った保険の種類
が多々あり、米国に在住する多く
の日本人の方は選択をするのに悩
んでしまうプランが存在していま
す。また、保険システムの変化が
多く、複雑化しているのも現状で
す。
それではここで、米国内の一般
的な現地保険や、米国からも申請
可能な日本の保険と、その種類や
特徴を一部紹介します。
● HMO (Health Maintenance Organization)
加入者本人の健康を管理するが、
プライマリーの医師(主治医)を
事前に選択し、基本的に主治医、
および主治医からの紹介による他
の医師以外にて治療を受けること
はできない。しかし、利便性に優
れていない反面、医療費の抑制が
可能になり、保険料や自己負担も
他組織と比べ安価である
● PPO (Preferred Provider Organization)
医療機関の選択が単一医師ではな
く、PPO 組織と契約している医師
であれば治療を受けることが可能
であり、Co-Pay のみで基本的に医
療費の立て替えは不要。このPPO
の保険料は、HMO より2割ほど高
くなる
● POS (Point of Service)
基本的には、HMO とPPO の両方
の特徴を取り合わせた組織。加入
者は主治医から紹介された医師以
外で診療を受けることが可能であ
るが、その場合は個人負担額が増
加する。その他は基本的にはHMO
と同じであるが、保険料はHMO
とPPO の間くらいである
● Self-Funded Insurance
通常の保険と異なり、保険会社へ
保険料を支払う代わりに、実費を
支払うという仕組み。PPO ネット
ワークやその規定料金(ディスカ
ウント)の利用も希望により、組
み合わせが可能となり、Stop-Loss
Insurance との組み合わせをするこ
とができる。補償内容やその範囲
などもすべて要望に応じて規定を
決めることができる
● HSA (Health Saving Account)
最近はHMO、PPO、POS でも、
自己負担額が高額なプラン(Health
Deductible Plan)が多くなってき
ている傾向から、Health Savings
Account という連邦税を支払う責
任のないセービング・アカウント
との組み合わせが増えている。こ
のセービング・アカウントは、連
邦税引き前の金額を、その口座へ
デポジットとして入れ、医療費用
の支払いを行うことができるとい
う仕組みである

「PPO の保険はHMO より2割ほど高くなります」と赤尾さん
日本の健康保険は、全国民が強
制加入していて、国によって保証
されているのが特徴で、国民健康
保険と社会保険に分類されます。
海外滞在中も継続加入している場
合に限り、海外から医療費の申請
を行うことができます。医療機関
の選択に関する規定はありません
が、受診する場合には、医療費の
立て替えが必須となります。なお、
保険の申請には、煩雑かつ複雑な
資料の準備があり、立替額の還付
にも比較的時間がかかる場合が多
いです。保険料はアメリカの保険
と比べると比較的安価になりま
す。
海外旅行(傷害)保険は、海外
に旅行をする短期旅行者の保険と
して日本国内で販売しており、日
本出国前に購入する必要がありま
す。基本的には短期旅行者の保険
であるため、補償範囲も制限され
ていますが、自己負担額がなく、
限度額(最高補償額)の設定も自
身で選択することができます。
また、医療機関の選択に関する
指定はなく、治療行為は自由に受
けることが可能ですが、米国内で
知名度がないため、日系の医療機
関以外にて受診した場合、医療費
の立て替え支払いが必要となる場
合があります。なお、受診ごとに
申請書の記入や提出が必要になり
ますが、保険料はアメリカの保険
と比べると比較的安価です。
では、米国現地保険から見てみ
ましょう。
まずメリットですが、現状(業
務内容、従業員数、平均年齢)に
合わせて多くのプランからタイプ
を選択することが可能です。また、
現地の医療機関に対しての歴史、
知名度があり、安心して利用する
ことができます。そして、高額な
現地医療費がカバーされます。
デメリットですが、保険料が高
額ということが挙げられます。例
えば1家族(大人2名・子供1名)
の保険料は、月に約1400 ドルから
1500 ドルと言われています。また、
保険料以外にも人的負担がありま
す。これは、保険対象外、自己負
担費用を企業が負担している場合
があります。米国内の保険システ
ムは、変化が多く、複雑化してい
ます。他には、加入のプランによ
って、医療機関が制限される、な
どがあります。
現地保険+HSA(Health Saving
Account)のメリットは、一般的
にDeductible(免責費)が高く設
定されているため、保険料を抑え
ることが可能なところです。また、
HSA 口座額に対しての税控除を
受けることが可能です。また、口
座の金額に対して利子が発生しま
す。この利子に対する税金も控除
が可能です。高額な現地医療費が
カバーされることがあるのもメリ
ットと言えるでしょう。
デメリットは、HSA 口座額は
医療費のみの利用が可能であるこ
と、また、保険料金以外の負担が
あります。保険対象外、自己負担
費用を企業にて負担しているとこ
ろもあります。
セルフファンドのメリットは、
医療経費が少額である場合、現地
保険の掛け捨てとなる部分を抑え
ることが可能になるところです。
また、米国現地保険同様に、ネッ
トワークを使用して受診すること
も可能です。発生した医療費は、
委託会社にて支払い代行されるた
め、人的負担が軽減します。
デメリットですが、外部委託す
る際に手数料が掛かります。設定
金額以上の費用負担が発生した場
合、保険会社からの支払いを受け
られますが、その後の保険料が高
くなる可能性があります。
最後に海外旅行傷害保険のメリ
ットですが、他に比べて保険金額
が安価なところです。家族(大人
2名、子供1名)の保険費用は、
1年間で約2500 ドルです。日本の
保険会社であるため、各種問い合
わせに日本語での対応が可能であ
り、自己負担費用が不要です。
また、最近ではクレジットカー
ドに海外旅行傷害保険が付いてい
ることがあります。これは、基本
的には日本出国から3カ月が有効
期限となっています。詳細など
は、お持ちのクレジットカードの
コールセンターに、確認してみま
しょう。
デメリットは、保険のカバー内
容に制限があることです。180 日
を超過する継続治療は対象外で、
歯科、既往症、予算行為なども対
象外になっています。また、利用
ごとに保険金請求書の記載が必要
になり、現地保険のような知名度
がないため、いったん治療費の立
て替えが必要な可能性がありま
す。
次に優先順位を確定させましょ
う。金銭的コスト、人的、時間的
コストの削減、利用者の利便性、
福利厚生制度の均一化など、どの
項目に重点を置くかを考えてみま
しょう。健康保険の活用方法は、
仲介業者など第3者機関の有効活
用と、健康保険加入者自身の申請
も可能となっています。