JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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2024/1/1

企画マーケティング部会 第248回 JBAビジネスセミナー 「『データドリブンHR』データから導き出す効果的な意思決定と人材マネジメント」

去る10月13日(金)、Pasona N A, INC.の板敷さんを講師に迎え、「データドリブンHR」について解説するオンラインセミナーを開催した。

板敷豊さん[講 師]
板敷豊さん

Sr. Product Manager/Sr. Product Architect
日本国際ERPパッケージのコンサルタントとして、人事給与、経理、SCM関連の海外案件を多数リード。渡米後は、管理部門業務のBPRコンサルタント事業立ち上げに携わり、現在はPASONAにて日系企業の人事改革プロジェクトをサポートしながら新サービス開発に従事。

データが人事にもたらすインパクト

講師の板敷さんは、現在の人事に欠かせない「データドリブンHR」という方式に至るまでの流れを、最初に解説した。「1990年代には報酬や福利厚生、人選や採用、人事管理を行う伝統的なHRが主流でしたが、2000年代に入ると『戦略的HR』が登場し、人材の獲得や開発に焦点を当てた人事プランニングやパフォーマンスマネジメント、さらに健康面と安全面の管理までを行うようになりました。そして、三つ目(の方式)が本日のトピックである『データドリブンHR』であり、組織内の人事決定をデータ収集と分析に基づいて行うというものです。しかし、データドリブンHRが戦略的HRにとって変わったというわけではなく、今も戦略的HRは残っており、データドリブンがその判断材料であったり、データをより活用していったりという要素が強くなっているということです」。

次に「データがもたらすインパクト」について、次のような例を挙げて説明した。「身近な課題からデータの重要性を読み取ってみましょう。例えば、『従業員へ出社を促進しているが、実際のビジネスには効果があるのか』や『従業員へ週3日の出社を義務化してみたが、不満の声が強く、退職者まで出てしまった』といった声を聞くことはありませんか。このような場合、人事データの収集や分析が行われていない企業では、他の企業がオフィス勤務を再開している、従業員の生産性が落ちている気がする、従業員間のコミュニケーションが減っているかもしれないという印象だけを基に意思決定を行う傾向があります。一方で、人事データ分析を行い意思決定に活用している企業の場合は、生産性指標、コミュニケーションの頻度、従業員満足度、産業時間・遅刻率、退職者数などの人事データを見ながら、在宅勤務の影響を分析できるのです」。

 

自社の状況を理解するために

さらに、板敷さんは「日本と比べると海外の各国の企業は、有形資産よりも無形資産の割合が高い傾向があります。無形資産には人材や知的資産などが含まれます。米国でビジネスを行う場合は(無形資産に焦点を置く)という傾向に寄せた方が良いです」と米国では人事データの分析に重きが置かれていると強調した上で、「データ分析がもたらすビジネスインパクト」について次のように述べた。「高度な人事データの分析を行っている米国企業では、従業員1人当たりの売上高増加が58%、純営業利益増加24%、売上成長率増加8%と結果を出しています(出典:9 Talent Analytics USA Canada for Business Leader / Linkedin )」。

そして、在米日系企業が抱える課題として、「マネジメントの多くを駐在員が担う場合、長期的な施策が実行しづらい」「小規模な人員で構成されることが多く、業務量の偏りや属人化が起きやすい」「転職の頻度が日本より高いため、優秀な人材の定着が難しい」という3点を挙げ、「だからこそ、在米日系企業は自社の状況を理解するために、データを活用し、さらに具体的なアクションを起こすことが重要です。特に自社が人事的な側面で魅力的な会社なのかを理解することが大事であると言えます」と訴えた。

 

「データ活用」している参加者は7%

続いて、データ活用にあたって人事領域での代表的なKPI(Key Performance Indicator)を紹介した後、板敷さんはセミナーの参加者に向けて、人事データの活用状況に関するサーベイを取った。「データ収集をしていて、活用を進めている」という回答は7%、「データ収集はしているが、活用できていない」は25%、「興味はあるがデータ収集をしていない」が54%、そして「特に動きはない」という回答が14%という結果になった。これら四つの段階は、企業のデータ活用の4フェーズとイコールだが、実際、シカゴの在米日系企業でサーベイを取った結果と今回のセミナー参加者へのサーベイでは同じような結果が出たということだ。

一方で、「米国企業を見ていると、70%以上の企業がパフォーマンス向上のために人事データ分析を行っています。企業のデータチームが定期的に、データ収集、レポート作成、データ分析、人財分析モデルの構築、インサイト提供という一連の流れでデータ活用に取り組んでいます」と、在米日系企業と比べ、米国企業のデータ活用が進んでいることを強調した。そして、データ活用を進めるためには、「まずデータを活用してどのような目的を達成したいかを明確化する『目的設定』、目的実現のためにどんなKPIを収集するのかを決定する『KPI設定』、KPIを確認するにあたりデータをどう取得するかを決定する『データ定義』、そしてKPIから何を読み取り、どう人事判断と経営判断に落とし込むかを検討する『意思決定』という四つのステップに分かれます」と解説した。

最後に、板敷さんは「日本企業と米国企業でどちらが良い、悪いという話ではありませんが、人事のトレンドは北米から日本へと流れる傾向があります。ですから、ここ(北米)にいらっしゃる皆さんがフレームワークを作って、それを日本本社に展開させるということを考えてみてはいかがでしょうか」と、人事領域でのデータ活用は在米日系企業が先に着手することを提案して、セミナーを締めくくった。

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