2017/1/27
教育文化部会では、2014年度から3年間、UCLAテラサキセンターで日本文化を学ぶ学生に、「JBA Language Scholarship Program」による奨学金を提供し、日本へ留学する資金援助を行っております。本プログラムに応募し15年度の奨学金を活用して留学した2名の学生の報告会を、1月27日に実施しましたので、その模様を報告いたします。
本報告会は、当部会員のみならず多くのJBA会員にプログラムの内容をご理解いただきたく、昨年に引き続き、隔月で開催される常任理事会の機会を利用し実施いたしました。
約30名の常任理事の皆様に通常より30分早くお集まり頂き、前田教育文化部会長の司会によって報告会がスタートしました。最初にテラサキセンターのLippit教授からご挨拶いただいた後、いよいよ2名の学生の登場です。
最初はMs. Danica Truscott Ph.Dの報告です。Danicaさんは奈良、平安時代の日本文学、特に多くの作品を残している女流万葉歌人、大伴坂上郎女について研究をされています。日本語の勉強は米国内で行えたものの、こういった研究をするためには、さまざまな文献があり、また一緒に議論できる研究者が多く存在する日本に留学することはとても重要であったということ、そして期待通りの研究が進められたというお話をうかがいました。多くの日本人ビジネスパーソンを前に日本語で話をするという特殊な環境に若干緊張されていましたが、JBAへの感謝の気持ちと、研究への熱い思いが伝わってくる素晴らしい内容でした。
続いて歴史を専攻するMr. John Leisure Ph.Dのお話です。Johnさんは戦後の日本において団地というユニークな住宅システムを利用しながら中間層が出現してきた歴史を研究されており、やはり日本への留学がいかに有益であったかということを興奮気味にお話しされました。日本で購入した雑誌を持参され、最近になって昔の団地の仕組みが注目を集めていること、今後さまざまな再生の可能性があることなど、やはり今後研究を進めていくことへの意欲が伝わってくる内容でした。
DanicaさんもJohnさんもさらなる研究のために再度日本へ行く計画をお持ちで、ゆくゆくは大学教授になりたいという希望をお持ちだということです。会の最後にはテラサキセンターDirectorの阿部教授のご挨拶があり、今後日米の架け橋となる人材への重要な投資という意味がある本プログラムへのJBAの協力について深い謝辞を頂きました。
個人的に大変印象に残ったのはDanicaさんもJohnさんも子どものころに日本のポップカルチャーに興味を持ったのがきっかけで日本古典や日本の社会学の研究をするようになった経緯があるとのお話を聞いたことと、Johnさんは今後博士論文を書くと同時に日本の工学院大学の教授と協力して東京都の団地再生化計画事業に参加するなど日本社会への貢献を既にしていることでした。今後もさまざまな部会での取り組みが南カリフォルニアでの日本文化・教育振興に寄与し、JBA企業の活動の一助となることを祈りたいと思います。
文:PDM, LLP・酒井紀幸さん