JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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2015/9/22

JETRO Los Angeles 南カリフォルニアにおける日系企業の最近の動向

去る9月22日にToyota USA Automobile Museumで開催された2015年度第4回常任理事会で、ジェトロ・ロサンゼルスの吉村佐知子事務所長が「南カリフォルニアにおける日系企業の最近の動向」について発表を行った。

最近の日系企業新規進出事例


全米で最大数の日系企業が集まる南カリフォルニア。近年はTOYOTAのテキサスへの移転などという話があるものの、依然として南カリフォルニアへの注目度は高く、日系企業からのジェトロへの問い合わせも、2013年の247件、14年の242件を上回るペースで、15年は4月1日から9月15日に117件を受けていると吉村所長。「カリフォルニア州は雇用コストや、税制の面でマイナス面もあるものの、JBAと共同で実施した『南カリフォルニア日系企業実態調査』でも多数の企業がカリフォルニアの魅力としてあげた、市場の大きさ、日系社会の大きさ、気候、物流拠点、日本に近いなどの魅力は変わらず存在し、日系企業からの新規進出の問い合わせは増えています」。

近年、進出した企業の例としては、航空分野ではすでに米国内で事業を展開している企業2社が、アフターケアの面を考慮した米国企業からバックアップを受けて、工場を新設するケースがある。航空宇宙分野はLAEDC(ロサンゼルス郡経済開発公社)や市などからも日本企業との連携を望む声があり、マッチメイキングイベントも開催されている。

エンターテインメント分野では、日本の官民ファンドであるクールジャパン機構の案件としてマニア向けアニメグッズをインターネットで販売する会社が進出し、事務所のみならず倉庫も構えている。「なぜ倉庫まで用意するかというと、マニアにとってはパッケージも非常に重要で、日本から一般の運送会社に頼んで送るとパッケージに傷が出て、苦情のもとになるそうです。そのため自分たちで壊れないように発送するということだそうです」と吉村さん。

一般機械・同部品分野では、日本が非常に優れた技術を持つ自動ドア関連の企業が今年事務所を開設予定である他、ライフサイエンス分野では、バイオ実験道具の企業が事務所を設立。「この会社はゼロから流通システムを作るのでなく、米国でパートナーを見つけて活動されています」。

業種別に見ると、ジェトロへの問い合わせが最も多いのは食品関連で、食品だけではなく食品加工機械を扱う企業も増えている。また日本で市場が開放されたサプリメントを扱う企業も多いという。サービス産業ではラーメンブームの追い風もあり、ラーメン店の問い合わせは非常に多く、現在も2社が開店準備を進めている。この他には、バイオ、環境、宇宙、工作機械などの技術関連の問い合わせも多数。

「私は赴任して3年ほどですが、以前は『これを輸出したいのだけど…』といったざっくりした問い合わせが多かった印象があります。今は『こういうものを、こうしたターゲットに売り込みたい』という目的意識をはっきりした企業が多い実感です。また、ゼロから米国の流通システムに入り込むのは難しいと考える企業も多く、企業買収、または技術提供を検討される企業も増えています。それに伴い、私たちも商品の流通先を探すよりも、提携先、技術提供先を探すなどということの方が主になりつつあります」。

北カリフォルニアからの進出と日本企業が抱える課題点

最近の日系企業の進出パターンとしては、北カリフォルニアからの移動も増加している。もちろんシリコンバレーのある北カリフォルニアは、イノベーションを考えた際には非常に重要な拠点であり、急速に進出企業数が増えているのは間違いない。「しかし製造よりはベンチャー企業が多く、またサンフランシコに集積しているのはIT関連が中心のため、それ以外の産業では実際に投資を受けて商品を流通させるとなると、サンフランシスコ周辺ではなく、ロサンゼルスの企業と提携し、技術者を探して、ロサンゼルスから流通させるパターンが非常に多いのです」と吉村さん。北カリフォルニアの家賃や人件費の高騰を受けて、南カリフォルニアのシリコンビーチなどへ移転する企業は米国企業に限らず、日系企業にも何社か見受けられるそうだ。

「一般にはカリフォルニアは、北がイノベーション、南が市場と言われていますが、南カリフォルニアには実はその両方があると感じています」。シリコンビーチの他、ロサンゼルスにはインキュベーションセンターが数多く存在し、リトルトーキョーのすぐ近くにはロサンゼルス市が作っている環境・エネルギー関係のインキュベーション「Cleantech Incubator」がある。また、エンタメ分野ではDisneyのインキュベーション「Disney Accelerator」がある。ここへの入居者を選ぶ公募では、日本のアプリ会社が優勝し、現在Disneyと共にアプリを開発している。この企業も、もともとサンフランシスコでこうした機会を狙っていたがチャンスがなく、公募をネットで見つけ、現在は着実にこちらで事業を展開している。「それに加え、バイオやIT、Port of LA、航空宇宙ロボットなどのインキュベーションがあります。詳細はジェトロまでお問い合わせください」と吉村さん。

またジェトロでは、米国への規格の対応に取り組む「認可・認証取得支援プログラム」への問い合わせも歓迎している。「日本企業は、実は進出の際に米国の規制・規格に対応していない場合が多く、せっかく展示会に来られて商談に入っても破談になってしまったケースもあります。認証を取得するには1年以上の時間やお金もかかりますので、開発時点で米国を意識したシステムにし、同時に取得するなどアドバイスをしたり、ULやNSF、FDA認証取得のお手伝いをしたりしています」。
問い合わせはジェトロ・ロサンゼルス事務所(☎213-624-8855)まで。

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