JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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2024/2/1

企画マーケティング部会 第250回JBAビジネスセミナー「シリコンバレーから速報!~現地最新スタートアップ動向を探る~」報告

去る12月15日(金)、新たなテクノロジートレンドやベンチャー投資環境の最新情報について、KDDI America・Open Innovation Fundのスペシャリストに語っていただくセミナー「シリコンバレーから速報!~現地最新スタートアップ動向を探る~」を開催した。

仁科知則さん[講 師]
仁科知則さん

KDDI Open Innovation Fund | Director
2004年、KDDIに入社。インターネットサービス等のシステム開発に携わった後、09年よりKDDI America, Incにてモバイル事業ならびにスマートフォン向けサービスを立ち上げ、端末企画やアプリケーション開発を実施。18年よりKDDI Open Innovation Fundにてスタートアップとの出資および協業検討を担当し、主にB2BサービスやAI・DXなどのテクノロジー企業へのスタートアップ投資を実行。また、事業開発面では、法人事業におけるスタートアップのプロダクト商材化や、無人・省人型店舗の開発・運営を推進。23年春に渡米し、KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点にて、オープンイノベーション活動に取り組む。

一色望さん[講 師]
一色望さん

KDDI Open Innovation Fund | Senior Specialist
2011年KDDIに入社。ヘルスケアや教育系の新規事業企画に携わった後、KDDIのCVCであるKDDI Open Innovation Fundの投資先支援機能を立ち上げ、各投資先のプロモーションサポートを実施。16年から2年間、グリー株式会社に出向し、新規メディアおよびインフルエンサーマーケティング事業の運営企画、CMなどのプロモーション企画に従事。出向帰任後、スタートアップとの出資および協業検討を担当し、主にエンターテインメントやメディアなどのB2C系サービスへのスタートアップ投資を実行。事業開発面では、投資先であるSHOWROOM社と共にスマホ特化の短尺バーティカルシアターアプリ「smash.」の立ち上げおよび推進や、携帯電話新料金プラン「povo」の若年層向け機能企画を担当。21年末に渡米し、KDDI Open Innovation Fundのサンフランシスコ拠点にて、欧米を中心とするスタートアップとの出資および事業連携、北米の先進的なテクノロジートレンドのリサーチに取り組む。

KDDIのスタートアップ支援~シリコンバレーの投資動向と事例

ウェビナーの形で、2部制にて行われた今回のセミナー。まず第一部「KDDIのオープンイノベーションの取り組み」では一色さんが講演。KDDIのスタートアップ支援体制とその遠隔を簡単に紹介した後、スタートアップ企業と大企業をつなげる事業共創プラットフォーム「KDDI ∞ Labo」、同社が運営するファンド「KDDI Open Innovation Fund」、これまでの投資実績などについて説明した。また、「弊社CVCファンドは日本をベースとして、日本国内のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジアのスタートアップ企業への投資も積極的に行っています」(一色さん)と、同社が世界各地でスタートアップ企業を発掘し、投資をしてきているという実績について触れた上で、欧米地域における具体的な投資先も紹介。to Bではパスワードレス認証ソリューションやスマート交通規制におけるAI技術開発、ファームウェア向けセキュリティソフトウェア開発、高精度衛星測位技術開発に携わる企業などを、to Cでは電動キックボードのシェアリングサービスを提供する企業やオルタナティブ投資プラットフォームを開発する企業など、先進性、将来性のあるスタートアップ企業が挙げられた。

続いて第2部、「シリコンバレーの投資動向とスタートアップ紹介」へと移行。引き続き解説を続けた一色さんは、「北米におけるスタートアップ投資金額は2021年に過去最高額を記録した後、景気後退で投資金額・案件数ともに減少傾向にある」という事実を示し、「そんな不安定な中でも、北米で火がついた『Generative AI』(生成 AI)への投資が2023年になって活発化し、前年の5倍以上のベンチャーキャピタルマネーが集中しています。さらに、EVや自動運転に対する関心の高まりを背景にモビリティー領域への投資額も増加中で、23年の3Q時点ですでに前年を上回る勢いです」と述べた。また、Microsoft(OpenAI)やGoogle(Bard)が生成AIでAI革命を牽引している旨、AIがさまざまな分野で進化を続けることで、今後の我々の生活や仕事に多大な変化をもたらすだろうという旨に触れた後、AI関連で注目のスタートアップ企業をいくつか挙げていった。

まず紹介されたのは、23年4月にKDDI Open Innovation Fundが投資した、交通違反・交通状況分析AI&画像解析エンジンを開発するアメリカのスタートアップ企業、Hayden AI Technologiesだ。公共交通機関に設置したAIカメラで取得した画像から街中の車両・歩行者の動き、交通違反を解析し、交通規制や都市計画などに活用可能な交通状況データとして提供するという本サービス。主なクライアントは地方自治体で、アメリカを中心に世界各都市から引き合いが来ているとか。それ以外にも、製造現場で危険が伴う装置チェックを人間の代わりに行うAIセンサー搭載ロボットの開発ベンチャーAnybotics、工場内で事故につながりそうな事象をAI搭載カメラが検知してアラートを出すソリューションを開発するVoxel、カスタマーサービスにおいて、より柔軟に顧客の状況に合った提案、応答をするAIチャットボットを開発するAigo.ai、「ChatGPT」などを活用したライティング(執筆)支援ツール「Hyperwrite」を提供するOtherside AIなど、さまざまな事例が挙げられた。

 

モビリティーの進化状況と、注目のスタートアップ企業紹介

続いて仁科さんにバトンが渡されると、話のテーマはモビリティー(乗り物)へと移った。そしてまず、「サンフランシスコでは既に『Waymo』『Cruise』という2つの自動運転タクシーが普通に走っている状況で、我々のオフィスの近くでもよく見かけます。『Cruise』は、自社の車が交通事故を起こした際に十分な情報を当局に提出しなかったとして23年10月より営業停止処分となっており、同社の自動運転タクシー事業に関しては少し普及がスローダウンするかもしれませんが、『Waymo』の方はLAでもサービス開始するという話があるなど、非常に注目の領域と言えます」と、話題の自動運転タクシーについて触れる形で話をスタートした。また、それ以外にも空を飛ぶ車や、新しいタイプの公共交通機関を作ろうという動きが出てきているなど、モビリティーの面ではアメリカが先行している感がある旨、それらに対するスタートアップ企業への投資活動も活発になってきている旨に触れた上で、注目のモビリティー関連スタートアップ企業の紹介に入った。

まず挙げられたのが、自動運転トラックによる輸送サービスを提供するGatik。「Microsoftを株主に持つ同社は、既にWalmartやカナダのグローサリーストアLoblaw向けにサービスを提供して収益を上げているほか、Sam’s Clubとの提携では24時間365日の自動物流を実現し、1日の運航距離は300マイルにも及びます」と説明した。また、自動運転の技術開発におけるシミュレーションに必要なテストシナリオを自動生成するForetellixも注目の企業として挙げた仁科さんは、「いわゆる自動運転ソフトウェアのテストをする際、実際の車両を使って走らせるパターンと、テストシナリオがプログラムされたシミュレーターを使うパターンがありますが、今は後者を活用するケースが圧倒的に多いです。このサービスは、極端な例としては視界にいる歩行者が少し変わった動きをしたとか、そういった人間であればほとんど気にしないような、無数の路上における事象をAIがテストシナリオとして自動生成して提供するサービスです。Woven by TOYOTA、Nvidiaなどが出資しています」と解説した。さらに、自律運航型の警備用ドローンを提供するSunflower Labs、空飛ぶ車(eVTOL)を開発するArcherなど、関心を引くスタートアップ企業が次々と紹介され、参加者らは熱心に耳を傾けた。

セミナーの最後には、質疑応答の時間が設けられた。例えば「御社(KDDI Open Innovation Fund)がベンチャーキャピタル・コミュニティーに入り込む上で工夫した点は?」という質問に対して「これに関しましては、11年にシリコンバレーに米国拠点を作って以来、とにかく脚で稼ぐというのがあります。例えばイベントなどにはできるだけ多く顔を出して、現地のベンチャーキャピタルやスタートアップ企業とのコネクションを多く作ることで、我々が求めているディールに出会える可能性も高まっていくのかなと考えています」(一色さん)などのやりとりがあり、セミナーは盛況のうちに終了した。

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