L.A.に来て2年。カルフォルニアのエンターテイメントは存分に楽しんでいるが、その他のことは学ぶ機会が少ない。
そこでいい機会だと思い、環境委員会主催のイベントに参加させていただきました。場所はTorrance地区から北に2時間いったテハチャピ地区。ここはカルフォルニアの3大好風地帯なのだそうだ。
丸紅さんのご厚意で、Oak Creek Energy(丸紅出資58%)にお邪魔した。
バスでお昼前に出発し、用意していただいていたお弁当にてランチ。いい大人だが、遠足気分である。車中、Oak Creek Energyおよび風力発電の基礎的なレクチャーを受けて、お腹も頭も満足したら眠りに落ちた。目を覚ましたときには、バスの前方に爪楊枝のような風車群。期待感に胸が躍る。まずはコントロール室を見せて頂けるらしい。どんな場所か想像が膨らむ。
そして、お待ちかねのOak Creek Energy到着! ”あれれ、ここですか?”
次はコントロール室だ!! ”へ~、これで十分なんだ~!!”
敷地はこじんまりとしていて、コントロール室はプレハブ、そしてコントロール室の中はPCのディスプレイが6つ並んでいるシンプルなもの、従業員もパラパラ。ここだけで、何千という風車を稼動・保守管理しているのだそうだ。風力発電という大設備産業なので、大きなビルにアルミ質なコントロール室を想像していた私はそのギャップに驚いた。
しかし、これはいいなと思った。風力発電は風車は1台数億円とお高いが、その他はそれほど設備にお金がかからなそうだ。まだまだ普及するのにはハードルがあるとは思うが、これは1つの朗報のように思った。
その後、現地従業員から現場の生の声を聞かせてもらえ、保守管理、事前整備がいかに重要かということを学んだ。大きな設備が止まるということは大きな損失ということ。
ち なみに、彼らの一番のトラブルはギアボックス(羽の回転(20回/分)を発電に十分な回転(8000回/分)にかえる)の故障で、信頼性のあるギアボック スを選ぶのが重要だというビジネスの成功法まで教えていただいた。この問題はどこの発電事業者も共通なようで、新しい風車にはギアなしのものもでてきているのだそうです。
その他、いろいろなことを親切に教えていただき、広大な風車群に間近かにふれ、風力発電および自然エネルギーが身近なものになりました。
私が今回のツアーで学んだことを皆さんとも共有できればと下記に紹介します。
・CAの風力発電量は75万世帯分/年にも及ぶ。
・CAでは1-1.2万本の風車が稼動している。
・3大風車メーカー
①Vestas(デンマーク)、②Siemens(ドイツ)、③GE(US)、日本メーカーは三菱重工
・現在の最大風車
高さ:80m、羽の長さ:45m、羽の重さ:6ton/枚、発電量:3MW
(初期の風車は高さ15m、発電量60kW)
・設備投資回収期間(何年目から利益がでるのか):7-8年
・羽の材料:グラスファイバー(カーボンではないのはコストが高いから)
私のこの報告が、時々ハイウェイから見える風車のことおよび自然エネルギーを考えるきっかけになっていただければ幸いです。
最後になりましたが、貴重な経験をさせていただいたJBAおよび環境委員会の方々に厚く御礼申し上げます。またの企画楽しみにしています。皆様もぜひ参加してみてください。
文:American Honda Motor Co., Inc. 渡瀬顕人さんの夫人・尚美さん