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8/11(Tue) | 第115回JBAビジネスセミナー

「各種医療保険とその有効活用」開催

seminar

去る1月23 日、ホリデーイン・トーランスにて、「各種医療保険とその有効活用」についての講演が開催された。Prestige International USA, Inc. の田中さん、赤尾さんを招き、専門家の目から各種医療保険について詳しく解説された。

最後にはドアプライズも用意され、異例のセミナーとなった。当日の内容をダイジェストでお伝えする。

米国現地保険の種類とその他の保険

「米国現地保険のメリットは、高額な現地医療費がカバーされることです」と田中さん

「米国現地保険のメリットは、高額な現地医療費がカバーされることです」と田中さん

医療保険は歯科保険を全国民に強制加入させている日本の仕組みとは異なり、米国は個人の責任で保険に加入する仕組みです。その米国現地保険には、1人1人の状況や、要望に合った保険の種類が多々あり、米国に在住する多くの日本人の方は選択をするのに悩んでしまうプランが存在しています。また、保険システムの変化が多く、複雑化しているのも現状です。

それではここで、米国内の一般的な現地保険や、米国からも申請可能な日本の保険と、その種類や特徴を一部紹介します。

● HMO (Health Maintenance Organization)

加入者本人の健康を管理するが、プライマリーの医師(主治医)を事前に選択し、基本的に主治医、および主治医からの紹介による他の医師以外にて治療を受けることはできない。しかし、利便性に優れていない反面、医療費の抑制が可能になり、保険料や自己負担も他組織と比べ安価である

● PPO (Preferred Provider Organization)

医療機関の選択が単一医師ではなく、PPO 組織と契約している医師であれば治療を受けることが可能であり、Co-Pay のみで基本的に医療費の立て替えは不要。このPPO の保険料は、HMO より2割ほど高くなる

● POS (Point of Service)

基本的には、HMO とPPO の両方の特徴を取り合わせた組織。加入者は主治医から紹介された医師以外で診療を受けることが可能であるが、その場合は個人負担額が増加する。その他は基本的にはHMO と同じであるが、保険料はHMO とPPO の間くらいである

● Self-Funded Insurance

通常の保険と異なり、保険会社へ保険料を支払う代わりに、実費を支払うという仕組み。PPO ネットワークやその規定料金(ディスカウント)の利用も希望により、組み合わせが可能となり、Stop-Loss Insurance との組み合わせをすることができる。補償内容やその範囲などもすべて要望に応じて規定を決めることができる

● HSA (Health Saving Account)

最近はHMO、PPO、POS でも、自己負担額が高額なプラン(Health Deductible Plan)が多くなってきている傾向から、Health Savings Account という連邦税を支払う責任のないセービング・アカウントとの組み合わせが増えている。このセービング・アカウントは、連邦税引き前の金額を、その口座へデポジットとして入れ、医療費用の支払いを行うことができるという仕組みである

日本の保険の種類と内容

「PPO の保険はHMO より2割ほど高くなります」と赤尾さん

「PPO の保険はHMO より2割ほど高くなります」と赤尾さん


日本の健康保険は、全国民が強制加入していて、国によって保証されているのが特徴で、国民健康保険と社会保険に分類されます。海外滞在中も継続加入している場合に限り、海外から医療費の申請を行うことができます。医療機関の選択に関する規定はありませんが、受診する場合には、医療費の立て替えが必須となります。なお、保険の申請には、煩雑かつ複雑な資料の準備があり、立替額の還付にも比較的時間がかかる場合が多いです。保険料はアメリカの保険と比べると比較的安価になります。

海外旅行(傷害)保険は、海外に旅行をする短期旅行者の保険として日本国内で販売しており、日本出国前に購入する必要があります。基本的には短期旅行者の保険であるため、補償範囲も制限されていますが、自己負担額がなく、限度額(最高補償額)の設定も自身で選択することができます。

また、医療機関の選択に関する指定はなく、治療行為は自由に受けることが可能ですが、米国内で知名度がないため、日系の医療機関以外にて受診した場合、医療費の立て替え支払いが必要となる場合があります。なお、受診ごとに申請書の記入や提出が必要になりますが、保険料はアメリカの保険と比べると比較的安価です。

各種保険のメリットとデメリット

では、米国現地保険から見てみましょう。

まずメリットですが、現状(業務内容、従業員数、平均年齢)に合わせて多くのプランからタイプを選択することが可能です。また、現地の医療機関に対しての歴史、知名度があり、安心して利用することができます。そして、高額な現地医療費がカバーされます。

デメリットですが、保険料が高額ということが挙げられます。例えば1家族(大人2名・子供1名)の保険料は、月に約1400 ドルから 1500 ドルと言われています。また、保険料以外にも人的負担があります。これは、保険対象外、自己負担費用を企業が負担している場合があります。米国内の保険システムは、変化が多く、複雑化しています。他には、加入のプランによって、医療機関が制限される、などがあります。

現地保険+HSA(Health Saving Account)のメリットは、一般的にDeductible(免責費)が高く設定されているため、保険料を抑えることが可能なところです。また、 HSA 口座額に対しての税控除を受けることが可能です。また、口座の金額に対して利子が発生します。この利子に対する税金も控除が可能です。高額な現地医療費がカバーされることがあるのもメリットと言えるでしょう。

デメリットは、HSA 口座額は医療費のみの利用が可能であること、また、保険料金以外の負担があります。保険対象外、自己負担費用を企業にて負担しているところもあります。

セルフファンドのメリットは、医療経費が少額である場合、現地保険の掛け捨てとなる部分を抑えることが可能になるところです。また、米国現地保険同様に、ネットワークを使用して受診することも可能です。発生した医療費は、委託会社にて支払い代行されるため、人的負担が軽減します。

デメリットですが、外部委託する際に手数料が掛かります。設定金額以上の費用負担が発生した場合、保険会社からの支払いを受けられますが、その後の保険料が高くなる可能性があります。

最後に海外旅行傷害保険のメリットですが、他に比べて保険金額が安価なところです。家族(大人2名、子供1名)の保険費用は、1年間で約2500 ドルです。日本の保険会社であるため、各種問い合わせに日本語での対応が可能であり、自己負担費用が不要です。

また、最近ではクレジットカードに海外旅行傷害保険が付いていることがあります。これは、基本的には日本出国から3カ月が有効期限となっています。詳細などは、お持ちのクレジットカードのコールセンターに、確認してみましょう。

デメリットは、保険のカバー内容に制限があることです。180 日を超過する継続治療は対象外で、歯科、既往症、予算行為なども対象外になっています。また、利用ごとに保険金請求書の記載が必要になり、現地保険のような知名度がないため、いったん治療費の立て替えが必要な可能性があります。

保険料へのコスト削減の近道として、現状の把握をする必要があります。加入者数、利用状況や、利用者の声を聞きましょう。

次に優先順位を確定させましょう。金銭的コスト、人的、時間的コストの削減、利用者の利便性、福利厚生制度の均一化など、どの項目に重点を置くかを考えてみましょう。健康保険の活用方法は、仲介業者など第3者機関の有効活用と、健康保険加入者自身の申請も可能となっています。

医療保険の関心の高さを裏付けるように、多くの参加者が集まった

医療保険の関心の高さを裏付けるように、多くの参加者が集まった

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