2014/8/11
8月11日、トーランスのミヤコハイブリッドホテルにて、JBA、米日カウンシル、南カリフォルニア日米協会の主催により、「アベノミクス第3の矢『成長戦略』:日米同盟への影響」が開催され、日米5人の議員により、同成長戦略の日米の経済、政治等への影響が語られた。
モデレーターのダグラス・ジョインズ教授の指名を受けてまず発言したのは鈴木けいすけ議員。日本の社会的・政治的・経済的現状と見通しを説明した後、第3の矢が急務とされる理由について、日本は現在「グローバル化」「人口減少」「中国の驚異」の3つの大きな課題を抱えていると指摘。資本面については、すでに政府は法人税の引き下げなど政策を決定しているものの、人口減少に伴う労働力減少に対しては、外国人、および女性の労働市場参加が議論されている段階と解説した。
続いて、牧島かれん議員が、労働力減少に対応するには、女性の労働市場および社会参加の環境を整えることが必要だと発言。安倍政権は、2020年までに管理職の30%が女性になることを目標としており、それに向けた取り組みが開始されている。出産後も働きたい女性が働ける環境作りが重要である一方で、女性が家庭に主婦として残ることを好ましいと思う伝統的意識を変えていく必要があるとした。そのためには男性がもっと家事・育児に参加することが求められ、それによって女性の社会進出、要職への就任が可能となるだろうと話した。
日本側の3人目として発言を行った河野太郎議員は、第3の矢で政府が行うのは構造変革ではなく、「規制緩和」であると強調。規制が緩和された後の成否は民間企業にかかっているとした後、電力業界の規制緩和に安倍政権が踏み込んでいる事実をその一例に挙げ、第3の矢の成功に大いに自信を持っていると述べた。また日本が直面している最大の問題は、人口減少であると話し、日本は移民受け入れを真剣に検討すべき段階に来ているが、反対意見も多く、政府としての結論はまだ出ていないと述べた。加えてアベノミクスは金融緩和政策を取ったが、欧州での低調なマーケットシェアや、円高により食費・燃料費が高騰する状況では、日本経済にとって弱い円は本当に良いのかどうか、議論すべきであるとした。
日本側の3人の発言を受けて、マーク・アレン・タカノ議員が、米国では雇用増加や投資リターンのためにインフラ整備への公共投資が必要とされており、3本の矢で言えば、米国はいまだ第2の矢のステップにおり、また米国は公共投資なしにはやっていけないと科学的な検証の裏付けもあると述べた。また人口減少問題については、米国も大量の移民がいなければ、日本と同様の問題を抱えていただろうと発言した。
アラン・ローウェンソール下院議員は、河野議員の説明のおかげで日本で行われている変革の内容をよく理解できたとコメントし、牧島議員が言及した女性の労働市場参加は米国では日本よりも進んでいるが、男女間の給与格差はいまだに問題であると述べた。移民問題に関しては、移民増加によるソーシャルセキュリティーやメディケアの資金源の不安が論じられているが、いずれにしても労働力市場における移民の必要性は非常に高く、世界経済、とりわけ米国にとって、さらなる移民を迎えられる良識的な移民法が極めて重要であると述べた。
パネルディスカッション後は、パティオでネットワーキングレセプションを実施し、三宅英夫JBA会長の音頭で、日米の友好的な関係が続いていくことを願って日米の参加者全員で乾杯を行った。