JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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2023/11/1

企画マーケティング部会 第247回JBAビジネスセミナー 「コンサルティングファームが実践する!デジタルマーケティング最新事例大公開」

去る9月29日(金)、企画マーケティング部会の主催で、「コンサルティングファームが実践する!デジタルマーケティング最新事例大公開」と題したセミナーを、Cambridge Technology Partners Inc.の谷風公一さんと丸山大輔さんを講師に迎えてオンラインで開催した。

谷風公一さん[講 師]
谷風公一さん

Associate Director
コンサルタントとして数々の企業変革、DX、推進のプロジェクトに参画。2019年よりCambridge Technology Partnersのマーケティング部門の責任者として、営業・マーケティング組織の改革、コンテンツマーケティングを推進。19年から3年連続でAdobe Marketo Engage Championを受賞。著作に『強いマーケティング組織と骨太コンテンツの作り方』があり。
丸山大輔さん[講 師]
丸山大輔さん

Sales & Marketing
2019年ケンブリッジ・ジャパン入社。セールスとしてメーカーやIT商社など、複数の業界の顧客を担当。22年よりケンブリッジ・北米法人へ出向し、現在はセールス&マーケティングを担当。

なぜ「デジマ」なのか?

冒頭、マーケティングに関する書籍や記事執筆も手がける講師の谷風さんは、今回のセミナーについて「なぜ、デジタルマーケティングをやらないといけないのか、そもそも(Cambridge Technology Partnersは)なぜデジマができているのかということについて事例を紹介しながら説明します」と口火を切った。

続いて、「コンサルタントとして、『対面営業を増やせば売り上げが上がると思い、(アメリカで)現地営業スタッフを雇ったがうまくいかない』という相談をよくいただきます。深堀りすると、つまり、相手にしてみたら『(商品紹介が目的の対面営業で)私の時間を使わないでほしい』」ということです。商品のスペックはウェブサイトを見れば分かります。個別の提案を相手は求めているわけで、時代はすでに変わっているのです。また、『展示会でマーケティング担当が大量に名刺を集めて、それを営業に渡したがうまく活用されない』という話も聞きます。営業が全件メールしたものの、ほとんど返信をもらえず次につながらないことがほとんどです」と、足で稼ぐ営業、名刺情報を営業に渡すだけのマーケティング手法は限界にきていることを強調した。

さらに、新規顧客の84%は「今すぐ(商品やサービスを求めているわけ)ではない」のだと、谷風さんは最近のデータを紹介。現時点で、「デジタルマーケティングで困っており、導入に向けて具体的に検討している」のは16%のみであり、「将来的な可能性はあるものの導入を検討する段階ではない」のが52%、「必要性は感じているため積極的に勉強中」なのが32%、つまり84%は営業の電話には応じないのだと語った。

「ユーザーが商品を評価するサイトは山ほどあります。だからこそ『資料をお持ちします』という言葉はもはや通用しません。70%の購買担当者は営業担当者に接触する前に導入要件を固めています。よって、マーケ(マーケティング部門)も営業も10年前とでは役割が全然違うのです。今は状況が変わっていて、デジタルの世界でほとんどのプロセスが終わってしまいます。だからこそ、対面営業のみに頼らず、マーケと営業が協働して、その会社向けの提案をきちんと持っていき、顧客といかにデジタルの世界で継続的に関係を構築するかが極めて重要なのです」。

 

狙いを定める

次に谷風さんは、ケンブリッジのデジマ事例の紹介に移った。「ケンブリッジがMA(Marketing Automation)とSFA(Sales Force Automation)をつないでどんなデジマをやっているか、マーケと営業がどんな協働をしているかをお話しします。商材はコンサルティングで、完全なオーダーメイドです。商談成立まで数年というケースはざらです」。

谷風さんが紹介した最初のケースのテーマは「本当に狙った顧客にアプローチできているか」。「さまざまなニーズを持つ顧客に一様に同じ中身のメールを送っても、『なんだ、これ、興味ないよ』と言われて配信停止が多発するだけです。ケンブリッジでは、営業が提案したい顧客リストを作成し、マーケがメールを仕立てて送っています。狙いを定めれば成否も出やすく、次のアクションを考えることもできます」。

二つ目の事例のテーマは「あとどれだけ頑張れば目標を達成できるか」。「展示会でマーケが大量の名刺をゲットして、それを営業に渡しても、今抱えている顧客の対応で忙しく後回しになりがちです。とはいえ、既存の顧客だけで本当に目標が達成できるかという懸念もあります。この場合の問題は、マーケが顧客のホットさを把握するための手法を持っておらず、中身を精査せずに獲得した名刺をまるっと営業に投げていることです。ケンブリッジでは、マーケと営業とが協力し、顧客を商談の確度に応じて管理しています。マーケがホットな顧客のリストを常にストックし、それに基に、営業は商談を進めたい顧客を必要に応じてさばくことにしています」。

 

「MA」と「SFA」の活用

三つ目のテーマは「関係の切れたお客さんを放置していないか」。「商談が中断したお客さんのリストを掘り起こしたいが、定期的に全件電話するしか手段がなく、お客さんの反応もイマイチというのがよくあるパターンです。商談の再開は顧客の都合で決まるもので、こちら側の都合ではない、つまり定期的に御用聞きをすることはコスパが悪いと言えます。そこで、MAだけでなくSFAをつないで、一度でも商談に進んだ顧客の最近のスコアの上がり具合を営業が追っています。過去に商談が中断したのに最近、またうちのサイトをじっくり見ていることがあるわけです。そのような顧客に対して行動を起こすようにすることが効率的です」。

そして、マーケと営業の組織を一気通貫で作り直したこと、人がやった方が良い部分とITの部分を切り分けたこと、さらに次にどのようなコンテンツを作るべきかを全員で知恵を絞って考えていることが、ケンブリッジのデジマを成功させている秘策であると谷風さんが語った後に、最後、今回のセミナーの結論として、次の五つのポイントが紹介された。

– 足で稼ぐ営業、名刺情報を営業に渡すだけの営業はもう限界。
– 顧客といかにデジタルの世界で継続的に関係継続するかが重要。
– マーケと営業が協働すれば、デジタルの世界で顧客との関係構築が十分可能。
– MAとSFAを連携して顧客を最後まで追い切ろう。
– MAとSFAはただの箱だが、顧客→組織→業務→ITの順番で考えて実装すれば、組織を支える強力なIT基盤になる。

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